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作業風景
妥協なきこだわりに美は宿る。
はじめに・・・
~孤独は己を磨く最高の環境~
私の彫金部屋は会社の片隅の階段下にあります。毎朝7時に出社し、一日が終わるまで、この部屋で作業をします。日々、黙々と作業をこ なし、ほとんど人に会うことはありません。しかし、その「孤独」ともいえる環境こそが、私を成長させてくれたと感じています。
孤独の中でしか、創造力を働かせ、自分自身を豊かに深めていくような濃密な時間は決して得ることはできません。孤独とは新しい自己を発見する最高の環境であり、真の自由を楽しむ生き方の一つではないかと思います。

彫金部屋
四畳ほどの小部屋です。

彫金部屋
四畳ほどの小部屋です。
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1. スケッチ
~世界は彫りたいもので溢れている~
「さて、次は何を彫ろう。」
日頃から、そんな思いが頭に浮かびます。
日本の伝統文化を題材にすることもあれば、日常の風景や身の回りの自然や動物をヒントにすることも。何を彫るにせよ、まずはスケッチブックに鉛筆を走らせます。この際、細部や生き物の表情を妥協なく描くことが肝心です。次に色付けをして、凹凸や陰影のイメージを掴みます。スケッチブックを描き終えたら、鉛筆を金槌に持ち替えて、あとは鏨の走るほうへ従うのみです。

デザインは100種類以上。
お蔵入りになった作品もたくさん。

デザインは100種類以上。
お蔵入りになった作品もたくさん。
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2. 道具の準備
~使う道具は主にふたつ 「鏨」と「金槌」~
鏨という工具を金槌で叩き、滑らせながら表面を削ることで、彫りがなされていきます。数十種類の鏨と金槌を使い分け、最も美しく表現できる彫りの方法を追究し続けてきました。
金槌を持つ右手、鏨を支える左手。両手への絶妙な力加減が重要であり、鏨の角度や圧力、打撃の強弱など、様々な要因が彫りの深さや削られた表面の美しさに影響します。

鏨と金槌
さまざまな種類の鏨を使い分けます。

鏨と金槌
さまざまな種類の鏨を使い分けます。
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~道具は自分で作る~
職人仕事は道具があってこそ。しかしながら、自分にしっくりくる道具とはなかなか出会えないものです。無いものは自分で作り出すしかありません。
私の場合、定期的に鏨を製作します。形成・研ぎ・バフ・仕上げまで、自分好みに調整していきます。鏨の先端の角度は、彫った際の線の幅に影響します。砥石の番手は、彫った部分の輝きに関係してきます。様々な場面で用いる鏨を準備することで、ようやく彫金作業に取り掛かることができるのです。

形成

荒研ぎ

仕上げ研ぎ

形成
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荒研ぎ

平研ぎ

形成

荒研ぎ
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平研ぎ

仕上げ研ぎ

荒研ぎ

平研ぎ
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仕上げ研ぎ

形成

平研ぎ

仕上げ研ぎ
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3. 彫金作業
~過ぎたるは及ばざるごとし~
彫金の作業は、指、目、耳を酷使します。ですので、疲労感が集中力を遮る前に、作業を切り上げるように心掛けています。というのも、全ての作品に対して最高の状態で 向き合い、どの一打も妥協なく彫り上げたいという思いがあるからです。
龍の鱗、虎の毛並み、魚の吹く気泡、桜の雌しべや雄しべ。ほんの気持ちの一打でも、全体を見ると、変わってくるもの。常に美は些細な細部に宿るのです。

舞妓と桜

一登竜門

風神

舞妓と桜
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一登竜門

富士と夕焼

舞妓と桜

一登竜門
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富士と夕焼

風神

一登竜門

富士と夕焼
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風神

舞妓と桜

富士と夕焼

風神
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~工夫を凝らせ~

「鳥の羽毛を表現するにはどうしたらよいか。」
彫金をしていると、様々な場面で表現の難しさに直面します。そのような時、解決案の一つとして、梨地タガネという鏨を作ります。鏨の先端を火で赤くなるまで熱し、ヤスリ棒の模様を焼き付けます。結果的に鳥の羽毛に近い模様を作ることができるのです。
たとえ想像通りにならなかったとしても、その鏨はまたいつの日か、別の表現で日の目を見る時が必ず来ます。そんな試行錯誤が、誰も教えてくれない独自の秘法となるのです。

梨地タガネ作り
鏨を赤くなるまで熱します。

梨地タガネ作り
ヤスリ棒の荒目を焼き付けます。

梨地タガネ作り

梨地タガネ作り
鏨を赤くなるまで熱します。
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梨地タガネ作り
ヤスリ棒の荒目を焼き付けます。

梨地タガネ作り

梨地タガネ作り
鏨を赤くなるまで熱します。

梨地タガネ作り
ヤスリ棒の荒目を焼き付けます。
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梨地タガネ作り

梨地タガネ作り
鏨を赤くなるまで熱します。

梨地タガネ作り
ヤスリ棒の荒目を焼き付けます。

梨地タガネ作り
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~需要があるものづくり~
好きな仕事に没頭する中で忘れてはならないのが、「利益を生む」ということです。これは趣味ではなく仕事です。ですので、作業のスピードと効率をしっかりと考慮する必要があります。
いくら頑張って時間をかけて彫ったとしても、売れなければ意味がありません。それは単なる自己満足であり、勘違いした自己評価ともいえます。あくまで評価するのは第三者なのです。それはどんな職業においても共通して言えることなのではないでしょうか。
職人は自分がどの時点で一人前になったか、自分ではわからないものです。ですが、たくさんのお客様からの御注文が、彫金包丁の需要を実感できる材料の一つであり、この仕事の存在意義の証であると自負しております。

利益重視
スピードと効率を常に意識。

利益重視
スピードと効率を常に意識。
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4.柄付け
~刃の歪みは彫りで決まる~
彫金作業を終えたら、刃に柄を取り付けます。彫金包丁は観賞用の包丁であり、実際のご使用はお勧めしておりません。飾って眺める包丁ですので、歯と柄のバランスも非常に重要です。
柄付の際、刃の歪みのチェックを行うのですが、彫金を始めた頃は、無駄に力を入れすぎた彫りをしていたため、よく刃に歪みが生じていました。その度に作業後に歪みを修正する必要がありました。その後、彫り方を変えたこともあり、刃の歪みは少なくなっていきました。良い彫りができたかどうかは、刃先の直線具合が教えてくれるのです。
柄付の際、刃の歪みのチェックを行うのですが、彫金を始めた頃は、無駄に力を入れすぎた彫りをしていたため、よく刃に歪みが生じていました。その度に作業後に歪みを修正する必要がありました。その後、彫り方を変えたこともあり、刃の歪みは少なくなっていきました。良い彫りができたかどうかは、刃先の直線具合が教えてくれるのです。

柄付け
鏨を赤くなるまで熱します。

柄付け
中子を叩いて真っ直ぐに修正します。

柄付け
真っ直ぐついているか確認します。

柄付け
鏨を赤くなるまで熱します。
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柄付け
中子を叩いて真っ直ぐに修正します。

柄付け
鏨を赤くなるまで熱します。

柄付け
真っ直ぐついているか確認します。

柄付け
中子を叩いて真っ直ぐに修正します。
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柄付け
真っ直ぐついているか確認します。

柄付け
鏨を赤くなるまで熱します。

柄付け
中子を叩いて真っ直ぐに修正します。

柄付け
真っ直ぐついているか確認します。
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5.仕上げ
~たかが箱、されど箱~
彫金包丁が完成したら、収める箱を作ります。
まずは箱の天面に貼る和紙を選び。彫刻のデザインに合う色や雰囲気の和紙を選びます。次に筆を手に取り、作品名をしたためます。そして最後に、判を押して完成です。
お客さんへの感謝の気持ちを込めて、そして、喜んでくれることを願いながら、箱にもこだわりをもって、仕上げております。

箱の天面制作
作品の雰囲気に合う和紙を選びます。

箱の天面制作
手書きで作品名をしたためます。

箱の天面制作
箱に貼ったら完成です。

箱の天面制作
作品の雰囲気に合う和紙を選びます。
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箱の天面制作
手書きで作品名をしたためます。

箱の天面制作
箱に貼ったら完成です。

箱の天面制作
作品の雰囲気に合う和紙を選びます。

箱の天面制作
手書きで作品名をしたためます。
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箱の天面制作
箱に貼ったら完成です。

箱の天面制作
作品の雰囲気に合う和紙を選びます。

箱の天面制作
手書きで作品名をしたためます。

箱の天面制作
箱に貼ったら完成です。
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最後に・・・
~とにかくやってみる~
基本的に既定のデザインに基づき御注文をいただいております。しかしながら、時折、お客様から「こんなのは彫れないだろうか」という相談をいただくこともしばしば。中には、かなりの難題もあり、デザインだけで数日頭を抱えることも少なくありません。しかし、私の中に〝断る〟という選択肢は毛頭ありません。なぜなら、それは成長する絶好のチャンスと捉えるからです。まだまだ未熟者を承知の上、とにかくやってみるのです。一か八かという覚悟の上、とにかくやってみるのです。
鏨と金槌を手にしたら、あとは自分を信じるのみ。〝期待を超えることはできるだろうか〟という一抹の不安は次第に、〝すごいものができるぞ〟という興奮へと化していきます。
全ての作業を終えた時、満たされる感情はいつも二つ。「やってよかった」という達成感と「楽しかった」というただシンプルに彫金が好きな気持ち。これが私の天職なのだと改めて気づかされます。

彫金部屋

彫金部屋
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独学で始めた素人の彫金。
これまでの技術は、お客様に育てていただいたと思っております。様々なご要望を通して、成長するチャンスをいただき、そして、お客様からの喜びのお声が自信へと繋がってきました。
チャンスとは準備ができている者に訪れるものです。今後いかなる難題が訪れようとも、「待ってました」と言えるよう、日々、技術を磨き、精進していきたいと思います。

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